タンゴ教室では、女性ダンサーたちの目力に圧倒される。スモーキーな黒い瞳は、あまり動かず、一点を見つめているの。
挨拶をすると、彼女たちは私を見つけて、微笑んでくれる。その時の、刻まれたシワが美しくて、惚れ惚れしてしまう。
私は、20歳までは、アイラインを引いていた。リキッドタイプのものを、くっきりと。それが、ある時、化粧品売り場の前を通って、変わったの。
あの日「こちらに、どうぞ」と、椅子を勧められて。私はそれに従って、試しメイクをしてもらう事になった。
「アイラインは、やめなさい」と、店員の女性が、はっきり言った。「野暮ったいわ。お願いだから、今日から、やめて」
「本当に?野暮ったいですか」と、私は聞き返したのを覚えてる。
私はその時まで、自分が野暮ったいなどとは、これっぽっちも思っていなくて。自信満々で、新宿の街を歩いていたのに。
「野暮ったいわよ。アイラインだけでも、酷いのに、リキッドだって」彼女は、笑顔のまま、ハキハキしていた。「アイラインやめたら、目なんか、自然に大きくなるのよ」
私はその日から、アイラインを使うのをやめました。彼女が、あまりにも確信を持って言うから。それ以外の選択は、無いように思えたの。
あれから、30年以上が経って、自然に目が大きくなったかは、わからないけれど。
それが去年タンゴを始めて、アイラインを使ってみた。でも、残念。似合わなくなっていました。
私は、初老女性の、スモーキーなアイメイクに憧れているのに。ゴシック風だと、ミステリアスで、シワが素敵に見えると思うのですが。
今は、薄いブラウン系の、アイシャドーを使っている。私のアイメイクは、これとマスカラで、完成。目力は、弱っちいけれど。
恋人を、優しい眼差しで見つめること。私の、今の夢です。
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